大人の作文教室@札幌 2014/11/05 「テーマと取材」 まとめ(講師:平田剛士氏)

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(出展:とさあち
昨年から通っている社会人教室「大人の作文教室」
不動産とは関係ないですが、電子出版できたのもこの講座に通っていたおかげなので、覚書をこのブログに残す事にします。

埼玉でのリフォーム作業が長引いたおかげで、この回は参加できませんでしたが、事務局のTさんが録音を聞かせてくださいました。

A.前置き

A-1) 講師自己紹介

(以下、講師のお話です)
10年前にも「遊」で似たなテーマで講演した。
当時の資料を振り返ってみると、10年前も同じ事言っていた(笑

経歴としては、北海タイムスで3年間記者をして物書きの修行をした。
北欧に会社の負担で視察に行かせてもらって、その直後に退職したので、先輩に怒られたのを覚えている。

北海道には書くテーマがたくさんある。
自然であったり、アイヌであったり、開拓の歴史など。

現在は、書籍の執筆、朝日新聞北海道版で隔週金曜日にコラムを連載したりしている。

A-2) 取材相手との付き合い方

取材相手は、地元の人だったり、役場の方だったり、研究者だったり。
皆さん専門家。
一般的に、取材者は知識・経験面で弱いため、影響されたり、取り込まれてしまう危険性は常にある。

取材相手との関係は、一回書いて終わり、というわけには行かない。
仕事以外で付き合う事も多い。
(飲み会等)

A-3) 社会への還元方法

取材で詳しくなると、その問題の解決に関して何か貢献できないものかと思うようになる。
例えば、NGOに参加したり、会費を払って会員になったり、得意な事で手助けする事などで、取材活動を社会に還元する。

B.取材について

B-1) 動機づけ

「まえがき」はどんな出版物にも付き物だが、実際は書籍をほぼ書き終わってから書く事が多い。
全体の総括のようなものなので、全体が出来上がった後でないと書けないのが道理。

とはいえ、この「まえがき」を元にして、企画書を作り出版社を回る必要がある。
商品のキャッチコピー、リード文を書くつもりで、取材前に作る必要がある。

取材相手には、出版された後に記事や出版物を送るのは忘れないように。

B-2) 出版社との付き合い方

緑風出版の社長さんは、放射能に対して厳しい方だったので、イノシシ肉の扱いについては社長との闘いになった。
(注:講師は野生動物の肉を流通させるNPOに関わっており、出版社の社長は高ベクレルの食材は許せないという立場)

最終的には議論の末に両者納得する形で出版できた。

お互いへのリスペクトが無いと出版の仕事はできない。
例えば、赤の他人からブログへの書き込みやTwitter、メール等で
「本書いてください」
と言われても信用できない。

B-3) 出版までの注意点

B-3-1) 取材費

企画書の段階で、出版社の編集部と打ち合わせ。
なるべく効率よく回る。
最近は、中古車レンタカーなどでレンタカー費が20年前の半額くらいになっているので、取材側としては助かっている。

取材相手にはお金を払った事は無い。
打合せのコーヒー代くらいは出すが、出版社の経費として落としている。

食事代などを考慮すると、結果的には足が出る(取材費以上にお金が掛かる)事がほとんど。

B-3-2) 契約

出版社へのアプローチは、最初は電話で
「一度会って話を聴いてください」
が王道。

ミーティングには企画書と名刺、過去の仕事が分かるものを持っていく。

「売れそうにない本を出しているな」
とか、
「自分の興味に近い本を出しているな」
というシンパシーを感じる出版社が望みが高い。

契約が決まると、雑誌の場合は独占契約になる事が多い。

条件は、1文字10円、原稿用紙1枚で4000円くらい。

B-3-3) アレンジ

企画書作成、準備段階である程度、取材先の目処を付けておく。
取材対象者が別の取材対象者を紹介してくれることも多い。
(芋づる式)

B-3-4) 編集者との付き合い方

署名記事に、編集者の好みや趣味で、赤(訂正)が入りまくったり、変更されまくるのは理不尽。
そのような編集者とはあまり付き合わない。

とはいえ、新人ではそのような態度を取るのも難しいかもしれないが・・・。

C.書籍づくりについて

C-1) 必要な5ステップ

  1. 企画
  2. 取材
  3. 編集
  4. 校正
  5. 販売

の5段階が必要。

C-2) NGOの広報誌づくりは絶好の練習

過去に、NGOの広報誌づくりに関わったことがある。
着手から完了まで4か月掛かった。

まず、想定読書層が考えそうな質問の一覧を目次にする。

次に、各方面の専門家にボランティアで協力してもらい、1ページずつ執筆依頼を出す。
もちろん〆切を決めて伝える。
※それでも文をもらえなかったら、自分で書く覚悟が必要。

イラストも誰かに依頼して(もちろんボランティア)掲載すると、文章が柔らかくなるのでベター。

ライター同士での意見の相違・衝突は必ず起きる。
調整するのも編集者・責任者の役割。

マジックワードは、「〆切がありますから」

InDesignでレイアウトを組む。
普通に買うと10万円くらいだが、たまたま大学の講師として籍があったので、アカデミック版(5万円)で買えた。
使い方も、プロの知り合いからタダで教えてもらった。

完了後、100円で1万部は売れた。
会員の方や宗教法人が100部とか1000部まとめて買ってくれた。

外部リンク

講師:平田剛士氏のブログ「なまずに見られた」