【助けあいジャパン主催】「復興 Meetup」レポート(2)ラポール・ヘア:早瀬渉さん

「復興 Meetup」のレポートの続きです。

19:25 ラポール・ヘア:早瀬さんのお話。

震災から一年くらい、全国からの物資やボランティアさんの受け入れをして、困っている理容師さん・美容師さんに届ける、という事もやっていた。
(「復興支援美容室 宮城県 事務局」)

2011年10月には1店舗目を石巻市にOPEN。
2012年3月に2店舗目をOPEN。
2012年6月、モッズヘアでのフランチャイズノウハウを生かし、FC本部の立ち上げ。
2012年11月、三菱商事復興支援財団による支援が決定。
これは、「被災地の起業家に資金提供をする事で復興を加速させたい」という思いで活動している支援団体。
2012年4月現在、8店舗まで出店が進んでいる状況。

詳しい会社沿革はこちら

【雇用創出】

1店舗出店すると、
10人の雇用創出ができる。
3年で300人(30店舗)の雇用創出をしたい。

ボランティアや物資の支援も大事だが、
被災者自身が自立して生活を再建していかないと、復興はなかなかできない。

多くの美容師さんが、自分の店舗を津波で流されてしまったり、職場がなくなって職を失ってしまった。
そのような人たちに「うちの美容室で働きませんか?」と声を掛けて参加してもらっている。

【美容師さんが働きやすい環境を】

キッズルームがサロンの中にある。
保育士さんも会社で雇っていて、無料託児室を全店に完備している。

お客さんのためだけではなく、美容師さんのため。

美容師さんのお仕事は土日も働いたり、練習も夜遅くまでやるので、子育て中の美容師さんは働く事自体が難しい。
30代になると辞めてしまう人が多い。
それは社会にとっての損失。

【地方で通じるビジネスモデル】

地方の店舗なので、お客様はシニア層が中心。40代から70代。
美容師さんの年齢層は、お客様の年齢層マイナス10歳。30代から50代。
(管理人注:消費者が美容室に行く動機としては、「キレイになりたい」「若々しくなりたい」という気持ちが大きいだろうから、若くておしゃれな人にカットしてもらいたい、という気持ちを汲んでのこと?)

やるからには継続的に成長させないといけない。

  • 確実に黒字になるビジネスモデルとは?
  • 投資回収を1年という短期間で行うためには?(被災地にはスピードが必要)

ということを考えて、仕事をしている。

【被災地の状況】

震災直後から1年くらいは、家やお店の津波被害はそのままの状況だった。
敷地に突っ込んでいた車は1、2ヶ月で撤去されたが、むき出しの柱などは残っていた。
今はもう地震があったことも分からないほどにきれいになっている。

1店舗目は中古車店だった所。
契約しようとした時は、建物の骨組みしかなかった。
大家さんに直談判して貸してもらえた。
(管理人注:大家さんも、そんな状態の建物を借りる人がいるとは思ってもいなかったのかもしれない)

OPENの10月は、震災後半年で周りにお店が何もない状態。
OPEN日は長蛇の列。
3時間待ち。
10月はそんな状態が続いた。

今でも、石巻市にもガレキの山は至る所にある。
この問題は全然解決されていない。

(管理人注:オープニングメンバーでの初めての忘年会の写真が印象的でした)

【被災地(石巻)が必要としている支援とは?】

1)震災直後から半年は、「人命救助」の時期。

電気がつながったのが一週間から一ヶ月後。
水も1、2週間出なかった。
宮城県庁の充電コーナーでは携帯充電の長蛇の列。

東京でも、自転車を高く売りつけていた人とかいたみたいだが、
被災地でも似たようなお店はあった。
ただ、そういったお店は今ではなくなってしまった。
住民皆が不買運動みたいな雰囲気になっていったので、商売として続かなかったのかも。

2)震災の1年後から2年目までは、住む所の問題。

ラポールヘアの美容師さんたちも、2・3割は仮設住宅から通ってくれていた。

当時の菅首相が「仮設住宅を作れ!」と号令を出していた時期でもあったので、自分も作るの手伝いにも行った。
仮設は住環境がひどい。
特に結露。
朝と夜、ずっと雑巾がけしないとカビがとんでもないことになってしまう。

登録制で誰が隣にくるかもわからないので、コミュニティが全くない。
ボランティアやNPOが、交流のイベントとかやってくれているので、何とかつながりが出てきているくらい。

3)今は、「とにかく来てもらいたい」という時期

  • 「被災地」と呼ばないで。
  • 宮城に遊びに来て欲しい。
  • ご飯食べて帰ってもらうだけでも、ぜんぜん幸せだよ。

そういうことを石巻の人は言ってました。

【復興には起業家の力が必要】

関東大震災の時、渋沢栄一も復興事業を行った。
復興を加速させるためには、起業家の力が必要。

ボランティアやNPOの数も減った。
資金的な問題。

昔からある地域の課題を、震災が加速した感がある。

地方発信型のビジネスモデルで復興に貢献できたらと思っている。

上場企業数を見ても、東北は他県と比べると少ない。
今、一緒にやっている仲間たち(起業家)は、

  • 地方から日本を変えたい、
  • 世界に打って出たい、

という志の高い人たちが多い。

【復興支援に関わりたい、という人たちへ】

ただ来てもらって、温泉に行くでも良いし、東北産の物を買うでも良い。

自分にとって、これは3回目の起業。
最初は「人より稼ぎたい」などの【経済性】が第一に来ていた。
今はどう考えても、【社会性】が第一に来ないと、人も集まらない。

社会問題を解決する会社であり、かつ、経済性もしっかりしていることが、会社に求められている。

アメリカの学生への「就職したい会社にランキング」では、上位10位にNPOが3つも入っている。
日本では・・・(以下略)。

遅いかもしれないけど、日本も徐々に変わって来ている。
「自分のやっていることや仕事の【社会性】」を常に考えて欲しい。
というのが皆さんへのメッセージです。

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19:40 夜明け市場:鈴木さんのお話に続きます。